-
希望する条件を具体的に明確にする
不動産購入を検討する際、最初に行うべきは「希望条件の具体化」です。不動産の選択肢は多岐にわたるため、予め条件を絞り込むことで、探索時間の無駄を避けることができます。また、顧客の具体的な要望がなければ、たとえプロの不動産会社であっても、ニーズに合致した物件の提案は難しいです。理想の不動産を見つけるためには、物件探しの前に条件をはっきりさせておくことが大切です。
具体的な条件としては、「戸建てかマンションか」という物件の種類や、「間取り」「床面積」などの居住スペースに関する要件が挙げられます。希望条件を定める際には、購入後の定期的な出費や将来の生活設計を踏まえ、長期的な観点から検討することが肝心です。
例として、戸建て住宅では自己責任で修繕費用を積立てる必要がありますが、マンションでは管理組合が毎月一定額を徴収します。また、間取りや床面積は家族構成、特に子どもの数に影響されるため、家族全員でしっかりと相談して決定する必要があります。
-
予算計画の策定
希望する条件が固まったら、次は予算計画を立てる段階です。予算を考慮する際には、「毎月どの程度までローンを返済できるか」だけでなく、「初期費用としてどれほどの頭金を準備できるか」や「住宅ローンの借入額」も重要な検討点となります。これには、毎月の手取り収入やボーナス、さらには現在の預貯金や他の金融資産を総合して考慮することが求められます。
住宅ローンの借入期間は通常30年と長く、この期間内に家庭の収支が変動することも考えられます。例えば、子どもの成長に伴う経済的変化などです。したがって、現在の状況だけでなく、「将来の家計収支の見通し」も予算計画に組み入れることが大切です。
物件探しを始める前に、「スゴい速い住宅ローン審査」(スゴ速)を利用することも一案です。これは物件が未定の状態でも事前審査を受けることができ、わずか15分で住宅ローンの借入可能額を把握することが可能です。
住宅ローンの利用可能額を把握した上で、物件探しを始めると、より現実的な選択が可能になります。
-
不動産物件の探索
希望する条件の特定と予算設定が完了したら、次は具体的な不動産物件の探索に移ります。最もアクセスしやすい方法は、インターネットやチラシを駆使して個人で物件を探すことです。この方法では自分のタイミングでじっくりと物件を選ぶことが可能ですが、情報は自分が探索する範囲に限られるため、希望に合う物件が見つかりにくい場合があります。
このような状況では、不動産専門会社の力を借りることを検討しましょう。不動産会社は「レインズ」と呼ばれる全国の物件情報を網羅するシステムを利用しており、あなたの要望に応じた物件を効率的に見つけ出してくれます。さらに、一部の不動産会社には市場に出る前の物件情報にアクセスする独自のネットワークがあり、より多くの選択肢から適切な物件を提案してくれる可能性もあります。時間と労力を節約したい場合は、初めから不動産会社に依頼するのが賢明な選択と言えるでしょう。
-
興味を持った不動産物件の実地確認
条件に合致する不動産物件を発見したら、次は現地確認が重要です。実際に物件を訪れると、予想と異なる部屋のデザインや雰囲気に気づくことがよくあります。一部の方は、物件が条件に完璧に合致していると感じ、現地確認を省略しようとするかもしれません。しかし、不動産は高額な投資であるため、後悔を避けるためにも現地確認は欠かせません。
既に完成している物件であれば、管理する不動産会社に連絡することで、見学の日時を容易に設定できます。建築中の物件であっても、モデルルームの見学が可能な場合があります。この機会には、気になる点があれば、担当者に遠慮なく質問することが重要です。直接的なコミュニケーションを通じて、疑問や懸念を解消することができます。
-
仲介物件の取引における媒介契約
物件の下見後、気に入った不動産が仲介を通じて取引されるものであれば、不動産会社と媒介契約を結ぶことになります。媒介契約は、物件探しを不動産会社に依頼する正式な契約です。直接売主として不動産会社が所有する物件では、この契約は必要ありません。媒介契約を締結すると、正式に物件探しの依頼が行われ、成約時に仲介手数料を支払うことになります。
一般的に、仲介手数料は契約時に半分支払い、残りは物件引渡し時に支払われます。媒介契約には複数の義務が伴うため、契約内容や不動産会社から提供されるサービスを十分に理解することが大切です。
理想的には、物件情報を入手した時点で媒介契約を結ぶべきですが、現実には購入者が複数の不動産会社を通じて物件を探すケースが一般的です。そのため、近年では購入意志が明確になった時点で媒介契約を結ぶ不動産会社が増えています。これにより、手続きの煩雑さを軽減できます。
-
住宅ローンを含む資金計画の作成
お気に入りの不動産物件が見つかった際には、購入に向けた詳細な資金計画を作成することが次の段階です。予め設定していた予算と物件の見積もり価格を比較し、住宅ローンの支払い計画が現実的であるかを確認します。
不動産購入時には、物件価格の他にも不動産取得税や登録免許税といった税金、引越しにかかる費用などの追加コストが生じます。これらのコストは物件価格に応じて変動するため、希望する物件を決定した段階でこれらの費用もあらかじめ計算しておくことが重要です。
-
不動産物件の購入申込の手続き
資金計画が問題ないと確認できたら、次は不動産物件の購入に正式に申し込みます。申し込みは、直接売り主がいる場合はその売り主に、仲介物件の場合は不動産会社に行います。購入申し込み時には、場合によって申込証拠金の支払いが必要となることもあるため、これを事前に準備することが大切です。
申込証拠金は購入意志の証明として売り主に支払う金額で、この支払いをもって購入申し込みが成立し、他の買い手による新規申し込みの受付は一時停止されます。この証拠金は、無意味な申し込みを防ぐために用いられ、一般に不動産価格に関わらず5万円から10万円程度が標準とされています。
-
住宅ローンの仮審査の手続き
不動産購入の申込が承認された後、続いて行うべきは住宅ローンの仮審査です。この仮審査を通過しなければ、資金計画が立たず、不動産取引を進めることができません。
この段階では、有利な条件のローンを提供する金融機関を探しながら、確実に融資を受けられるように複数の金融機関に申し込むことが重要です。仮審査の申し込みは多くの場合、オンラインで完結し、手続きは比較的簡単です。可能であれば、より多くの金融機関に申し込んでおくと良いでしょう。
-
重要事項説明の受領
住宅ローンの事前審査をクリアした後、不動産の売買契約締結へと進むことになりますが、契約の前には重要事項の説明を受けることが必須です。契約を進める前に、これらの事項を十分に理解し、納得できた上で契約にサインするようにしましょう。法律により、一般の消費者が不動産を購入する際には、不動産会社の宅地建物取引士が重要事項を説明することが義務付けられています。
また、宅地建物取引士は説明の前に、自身の資格証を提示することが規定されています。提示されない場合は、確認することが重要です。不動産売買契約書には専門用語が多く含まれていますが、理解できない点があればその都度質問することが推奨されます。
-
不動産売買契約の締結
契約書の詳細についての説明を受け、すべての点に納得がいったら、不動産売買契約を行います。契約後のキャンセルは違約金の発生リスクを伴うため、全ての疑問が解消されるまで契約書にサインしないことが重要です。納得の上でサインすることが大切です。
また、契約締結時には手付金の支払いが必要となります。この金額は通常、物件価格の10%から20%が目安ですが、申し込み時に支払った証拠金を手付金に充てることができる場合もあるため、この点も確認が必要です。特に不動産会社が売主の場合、手付金の上限は物件価格の20%以内と法律で定められています。